- 商品名
- ダグラム武装強化型B
- 出 典
- 太陽の牙ダグラム
- サイズ
- 1/48スケール
- メーカー
- タカラ
今週ご紹介致しますのは、納品となりましたプラモデルの作例、その製作編となります。
お客様からはダグラム&バイファムモデルズという作例集に掲載されている「ダグラム武装強化型B」を再現してほしいと言うご相談。作例ではバンダイのMGゲルググver2.0のフレームを用い、タカラのダグラムのキットの外装を組上げていく、というものでした。
今回は担当のモデラーが詳細な製作レポートをあげてくれましたので、今回はその内容を一部抜粋してご紹介させていただきます。
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たいへんお待たせいたしまして、申し訳ございません。
製作依頼を受け、キットが手元に届いてからようやく納品にこぎつける事ができました。
当初の予定よりも遅れてしまいましたが、工作量の多さも然る事ながら、本誌の記事、画像からの情報量が意外に少なく、四苦八苦の連続でもありましたこと、ご理解いただきたいと存じます。
その辺りも踏まえまして、遅ればせながら製作過程などを記させていただきますので、ご一笑下さいますれば幸いです。
作例で使用されたダグラムキットの内、無改造で使われているのは頭部アウターのみと言う事で、製作は頭部から始めました。
ゲルググのパーツをそのままインナーに使用する胸部から造れば、それが他の部分の基準になりそうでしたが、アウターとなるダグラムのパーツが単純に幅詰したものではなかったからです。
両サイドのダクトは作例に準じて幅詰。
後部ディティールパーツは、作例ではオミットされ、ただ塞がれているようでしたが、キットのパーツをやはり幅詰して使用しています。
スモークチャージャーが着脱できるよう、内部にはポリキャップを仕込みました。
本当は外したときのディティールを考え、もっと凝ったものにしたかったのですが、空間がなかったために断念。
アンテナは真鍮線とモビルスプリングで作ってあります。
改修中のコクピット内部と、胸部パーツのブッタギリ具合。
頭部幅を参考にターレット部の幅を割り出し(目算)、これにあわせて両サイドをインナーに使用するゲルググのパーツ幅に合わせました。
キットではダクト部の中央に向かって落ち込むスロープが「ハの字」に開くディティールになっているので、フラットになるよう、取り付け角を変更してあります。
ただ胸部側を、ダクトがそのように付くようにCUTするだけだと、前方への張り出しが弱くなるので、1mmプラ板を噛ませて接着。
これらの変更により、胸部立ち上がりの両サイド(四角い窓の付いた三角の部分)と前中央下部の装甲が上手く合わなくなってしまったので、プラ板で作り直してあります。
「切れ込みを入れて、上半身とバランスを合わせて」とだけ書いてある腰廻りは、実は今回の作成でもっとも苦労した部分。
後部アーマーは記事のとおりに簡単に作れましたが、腹部と前部のアーマーは、そうはいきませんでした。
曲げ角度を変えているうちに切り込み部分から切れ、胸部装甲同様バラバラに・・・。
本体側の角度を削ったりしましたが、胸部側のアーマーとのバランスが作例画像のようにどうしてもならず、数日間、四苦八苦して煮詰まってしまった挙句、先に脚部を作ることに。
原因が判ったのは、脚部の作成がもはや終わろうとする頃。
写真をボ~っと眺めていて、腰部が上方へオフセットされている事に「はっ!」と気付いたのです。
で、せっかく組み上げた腹部をバラしてポリキャップの取り付け位置を下げ、腰側のボールジョイント軸を伸ばして解決。
作例ではキットベースの装甲の上に、更にプラ板を貼り付けて作成されているようでが、そうすると(姿勢のためもあるでしょうが)本誌写真のように、腰が胸部より前方に張り出してしまうのです。
塗装面の下地処理を考えるとそのほうが楽なのですが、なんだか股間を突き出しているようなシルエットになるのがどうしても許せず、キットのアーマーのみとしました。
太股装甲はゲルググのものを、付根関節を覆うように延長加工し、スネはダグラムのものを2mm幅増しして使用。
インナーはゲルググのものを流用と、基本的に作例と同じ。
スネ部インナーは恐らく作例でも途中で切断して延長しようとしていると思われますが、足首部の関節は上下逆に取り付けました。
つまり画像でサンダル側についている球体♀とこれを囲むパーツは、本来ヒザ関節部とアッセンブリーとなる、スネ内部のインナーパーツです。
当初順当に組み上げましたが、本誌写真程度には動くものの、「可動範囲を広く」と逆さまにした次第です。
が、実際に組み上げると他の関節の可動範囲が狭い(股関節はアーマーに干渉、膝の下部関節が曲げた状態で組まれている)ため、ほとんど無意味なものになってしまいました・・・(泣)。
スネ側のヒザ関節と足首球体は真鍮パイプで接続し、周囲はゲルググのパーツでデコレートしました。
下腕内部には、ゲルググのインナーがスッポリ。
大河原曲げが出来るようにロール関節を作って入れるのに、丁度よい空間もあります(笑)。
ただそのままでは、肘関節についているアクチュエータが干渉し、“曲げ”も“回転”も出来ないので、インナーパーツを削ると共に、アクチュエータ自体を直線的に変えてあります。
元の作例でどのようになっているかが判りませんが、下腕部アーマーの取付部は、オミットせずにそのまま使っていますので、腕を真っ直ぐにしたまま回転させようとすると、アクチュエータが干渉する事があります。
無理に廻そうとすると、角度を変える為に切り離した部分からポッキリといくことがありますので、軽く曲げた状態で回転させてください。
肩部の球体は、ヒートプレスで作成した半球体をゲルググのインナーに被せて作成しました。
作例では下半分しかないゲルググキットの一次装甲を基準に球体を造っているようですが、この幅に合わせて肩アーマーを造ったらやたらに前後幅が広く、格好悪く感じたので球体部を小型化し、アーマー幅を抑える事にしました。
アーマーの取付軸の受けにはポリキャップを仕込みましたので、下腕部アーマーのようにコテコテとは動かないはずです。
肩部の小型リニアガン本体はプラ板とパテ、バレル~マズルと後部のボルト部はプラ棒からの削りだしです。
着脱がご希望でしたので、ちょいとオリジナルのディティールにしました。
ロックは設けましたがプラ板の弾性で固定されているだけなので、軽く摘んで上方に持ち上げれば取れます。
腰部グレネードも外したときのディティールを考慮し、ポリキャップは使用しませんでした。
同様にスリットに差し込むだけのタイプですが、弾性と強度を考え、接続ベースはABS(元はマルイのエアコキ)。
本体はプラパイプですが、内径をドリルで広げて大口径化(笑)。
ターボザックはプラ板箱組。
武装とのバランスの点から、作例より若干小さ目にしたつもりです。
上部のタンク(?)はキットのミサイルポッドにプラ板を巻きつけて作成。
タンクサイドの円盤上パーツは、作例では軍用車両のホイールが使用されているようでしたが、パクリ元も判らなかったので、ミサイルポッドの前部を改修して使用しました。
兵装基部を含むディティールも、同様に軍用車両のトーションなどが使われていた様ですが、手持ちが無いのでプラ板で自作。
このあたりのディティールは作例と異なるものですが、チグハグな印象にならないようにしたつもりです。
タンク上方に見られたダクトは、「シャッターがあっても水が入り込む恐れがある位置では?」ということでオミット。
ミサイルポッドは、前後を作った後にプラ板で囲んだ中抜きで作成。
弾頭とノズルは3mmプラ棒からの削り出しで、画像では判りにくいかもしれませんが、肩部用と脚部用とで形状を少し変えてあります。
脚部ポッドの前後長は長めにデザインし、取付軸は真鍮棒を使用しました。
リニアキャノンのバレルは5本ほど作り直し、ようやく納得出来るものが出来ました。
プラ板を巻きつけ、熱湯で癖をつけてジャケットを造ったのですが、表面にどうしても波が出来てしまうからです。
中央のものは、そうした中では比較的マシに出来たやつですが、それでも波を修正するのが困難で破棄したもの。
最終的には左のように外形の大きなプラパイプとアルミパイプの間に挟みこんで煮込みました。
この方法に至る前、ヒート法による造形を諦め、何本もパイプを購入しましたが、結局、銃身本体としたいパイプ外径にピッタリあう内径を持つものを見つける事が出来ませんでした。
模型用のパイプは、二つのパイプをあわせて使う事を、基本的に考えていないようです。
キャノン本体はプラ板の箱組みと積層で造られています。
当初、作例を真似たシルエットをもつものを造ったのですが、上下幅が広く、平面的な側面をしたデザインのため、まるで弁当箱のように見えてしまいました。
そこで両サイドに僅かな傾斜がある側面を持つ、スマートなデザインの設定に近いものに変更。
大河原氏の設定ではバレル基部のラインが真っ直ぐでないように見受けられますが、バレルと本体の中心軸をあわせ、上下ブロックパーツがほぼ均等になるようしましたので、設定画よりは少し上下厚があります。
腕部のリニアガン本体は、基本的にキットのままで、前方を向いた赤い台形部分のふちとなる部分にプラ板を張ったくらいです。
バレルはプラパイプ。
マズルは作例では「MGガンキャノン」から流用とあり、受け取ったキット内にはソレらしきパーツが入っていましたが、妙にぶ太い印象があったので、やはりパイプから作成。
マズル~バレル関係では唯一、径の異なるパイプから作成しましたが、テーパーを付けるとパイプ接合部が表に出、上記で説明したように外、内径に差があるため隙間が生じ、その処理に苦労しました。
その経験から肩部レールガン、手持ち装備のマズルはパイプではなく、ロッドからの削り出しとした訳です。
手持ちライフルはプラ棒を二本あわせて成型した芯パーツをつくり、プラ板を巻きつけて煮込んで本体を作成。
これに更にプラ板を巻きつけ、ジャケットを作りました。
作例では0.3mm板を使用したとあり、当初そのとおり作りましたが、細身になりすぎたと共にジャケット部の強度が不足した為、いずれも0.5mm板を使用して作り直しました。
シルエット自体は作例よりスマートなイメージになるよう造っています。
グリップ部とサイドの四角い張り出しのスリット廻りは、ゲルググのパーツを加工流用しています。
作例ではシリコンバリア法で表現されている「ハゲチョロ」は、塗装が剥げ易いという理由から採用せず、一般的な塗装法で、足裏を除き作例より控えめに行いました。
シェードは少しキツ目に。
墨入れ、ウォッシングをしてデカールを張り、艶消しクリア処理。
エナメルサンドで足回りを汚すと言う残りの手順は、作例と同じです。
なお兵装の着脱もできるようしており、各関節も可動もしますが、プラモキットであるということと切り貼りして作成したものであります。
材質を含め、ある程度強度は考慮しましたが、ギミック優先で製作したものではないことを予めお含みおきくださいますようお願いいたします。
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完成版は来週のご紹介とさせていただきます。お楽しみに!